Believe
「いえ、大丈夫です。ビデオに録画してありますから…」

「えっ、ビデオにも録画してるの?」と笑う稲葉さん。

「そうですよ」

「そー言えば、何でCD買ってきたの?俺あげたじゃん」

「あれは、稲葉さんからの贈り物。今日、買ってきたのはファンだからです。ファンはみんな買うんです。しかも予約して…」

「あはは。欲しかったらいくらでもあげるのにー」

「そう言う問題じゃありません!自分のお金で買う事に意味があるんです!!」

「ありがとう。優希」

「お礼は私じゃなくて、買ってくれた人、全員に言って下さい」と笑う私。

「はい…すみません…」

2人で笑ってしまった。

稲葉さんが話を続ける。

「5月に入ったら、オレラ連休で休みが取れそうなんだ」

「そうなんですか?忙しかったからお休みが貰えて良かったですね」

「うん。優希は土日が休みなんだよね?」

「はい。そうですよ」

「俺、土日に合わせて休み取るからさ!」

「本当ですか?でも、私に合わせてもらうのは悪いですよ」

「平気だって。オレラ、決まった休みがある訳じゃないんだし」

「そうですか?じゃー今回は合わせてもらっちゃおうかな!」

「おう。そうだ」

その時、誰かが稲葉さんを呼ぶ声がした。

「あ、ごめん。これから別の収録があるからまたね。おやすみ、優希」

「はい。頑張って下さい」

と電話を切った。
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