リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・10
彼は高校2年生、わたしは高校3年に進級したばかりの春。

それまでは同じ委員会の先輩・後輩だったわたし達だったけど、何故だかわたしの方から彼に告白して付き合うようになった。

けどまあそれまで、彼がわたしに抱いている感情には気付いていた。

何かと気をかけてくれるし、大事にもしてくれる。

でもそこまでなら、今までそういう人がいなかったワケじゃない。

彼とそれまでの人との違いは……。

「からかうと面白いから、かなぁ?」

「何か今、悪魔の囁きが聞こえた気が……いや、空耳だ。オレには何も聞こえない」

そう言って青い顔色で、両手で両耳を塞ぐ。

「んもー。そうすると手が繋げないじゃん」

少しむくれながら言うけど、彼は知らん顔。

よーっぽどわたしにオモチャにされるのが気に食わないらしい。

…生意気な。

わたしは思いっきり彼の腕にしがみついた。

「ていっ!」

「うわっ! 重っ!?」
< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop