それでも君を



「…合鍵、持ってる?」


昔に渡した合鍵。
会うのはいつも私の部屋だった。


《もちろん》

「オートロックの番号変わったから。
0520。もしヤスくんのほうが早かったら部屋入って待ってて。」


部屋、掃除しなくちゃ。


《わかった。
ユリ、はやく会いたいな》



本心かどうかもわからない彼の言葉を鵜呑みにするほど馬鹿じゃないけど、どうか本心であってほしいと願ってしまう私はどこかやっぱり、いつか彼と結ばれることを望んでいるみたいだ。

彼にとって私は浮気相手でしかないはずなのに、いつから私は彼を本気で愛し始めたのだろう。



「――気をつけて帰ってきてね。」



私も、と言ってしまうともう後戻り出来ない気がした。




いつかこの愛に首を絞められて殺されそうだ。








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