それでも君を
「ごめんな急に。でもよく考えて?
何でもないやつのためにこんな夜遅くまで残業、付き合わへんやろ?」
いまはたぶん10時過ぎ頃。
私が明日の会議に必要な資料を忘れてて残業していたらナオがお弁当を買って戻って来てくれた。
大変やなあ、手伝うでって優しく笑いながら仕事を付き合ってくれた。
こくりと小さく頷くとナオ優しく笑って続けた。
「俺ら何回もご飯行ったやんなぁ?
ユリちゃん、苦手なものあった?」
ナオとはよくご飯に行った。
ナオが連れてってくれるお店は雰囲気が良くていつも私好みだった。
メニューはいつもナオが頼んでくれるが、私の苦手なキャベツと山菜類は一度も出てこなかった。
なかったと呟くとまたナオは優しく笑った。そして優しく頭を撫でながら私を抱きしめた。
「ユリちゃんが酔っ払ったとき、迎えに行ったりもしたよなぁ。」
ナオの身体は思ってたよりも筋肉質で暖かくて何より優しかった。