ただ、あなただけは。
自慢のサラサラの黒髪ロングをアイロンで
丁寧にのばしていく。
「…よしっと。」
化粧ももちろん忘れずに
ナチュラルメイクを
ほどこしていく。
丁寧に制服を着ていき
……準備完了っと。
「やば〜!もう時間がっ…行ってくるね」
私はそう言いながら
玄関で靴を履いた。
お母さんはそんな
私の様子を見ながら
────…絶対に口にするあの言葉を言った。
「…いつも言ってるから、分かってるわよね?」
私はその言葉に対し
静かにうなずいた。
「…千ヶ崎颯太にだけは…絶対に近づかないのよ?」
「…うん」
私の一日は
毎日この会話で始まるのだ。