タイムリミット
ふらふらとする足取りの中、
病院を抜け出した
「…ハァッ」
息が、すごく切れてる
いつもの自分ならこんなの簡単なのに
やっぱり、変わっちゃってる
走るのが大好きだったのに
大会前日だったのに
すべての夢が
一瞬で壊された
もう、希望なんてない
だけど、病院で借りている服をそのまま着てきちゃったから
あまりに変。
上にロングカーディーガンを着てるぐらい
裏道通ろう…
これからどうしよう
もう、なにもかも失った
命だってきっともう長くない
あの医者の言葉の続きなんてなんとなくわかった
わかったから、拒絶した。
綾乃…最後でいいから会いたかった
だって、
もう死ぬんだから。
親なんかともう目も合わしたくない。
全部、怖い
こんな世界、生きていても意味がないのかもしれない
なら、いっそのこと死んじゃおっか…