金属バットを買って待つ(仮題)
石井建設(株)
代表取締役石井勇夫書いてある。
石井建設は、建設機械のリースを主な事業にしており名刺の裏には、トンネル機械リースや建設資材リースをやっている旨を書いていた。
石井建設の本社は、北九州だった。
石井建設には、色々な噂がありそのほとんどが黒い噂だった。
右翼との付き合いやヤクザとの付き合いなどが主な噂で石井勇夫は、五十代半ばで二度ほど会った事があるが小柄で腰の低い丁寧な男だった。
だが、俺はあまりの信用していなかった。
石井が醸し出す雰囲気は、アウトローが持つ独特な雰囲気だった。
だがこの建設業界では、それほど珍しくはなかったし、よく居るタイプだった。
柳川所長にもそういう雰囲気は、あったが石井の場合どこかずる賢い雰囲気があり俺は、信用出来なかった。
俺は、名刺を見ながら石井の携帯に掛けた。
石井は、三コールで出た。
「もしもし、ムサシ建設の元山陽一です。
お久しぶりです。
この度は、ご迷惑をお掛けしてすいません。」
「あ~息子さんね。
大変だったねぇ。
今は、どこにいるのかな?」
石井は、とぼけてやがると思い俺は、単刀直入に言った。
「居場所は、言えないですね。
どうも法律上は、きちんと倒産したのに石井とか言う人がヤクザを使って探してるって聞いたもんでね。
石井さんなめたらいかんですよ。
俺を社長の息子でただのボンボンだと思ったら間違いですよ。」
「ハハハ、なかなか威勢がいいね。
だけど、ヤクザを使ってるのは、うちじゃないよ。
それと、元山君参考までに言うけど君一人が居なくなっても見つからないもんらしいよ。
気をつけないとね。」
「確かにそうですね。
石井さん一人殺しても世界は、回るって意味と同じですね。」
俺は、そう言うと携帯を切った。