金属バットを買って待つ(仮題)
俺は、木刀は、あるかな?と男に聞いた。
男は、うちは野球用品が専門だから無いと素っ気なく答えた。
俺は、店内で目に付いた金属バットを手にした。
半額セールと書かれた紙が貼った所に金属バットが何本か置いてあった。
俺は、手に持つと剣道のように構えてみた。
悪くなかった。
大人用でメーカーは、全く知らないメーカーだったが悪くないなと思った。
俺は、店員にお金を払いさっさと店を出た。
車の中で金属バットを握りしめた。
どこかで思い切り振ってみたかった。
携帯が鳴る宮野からだった。
「俺だ、俺だ、洋一柳川のオッサンから聞いたぞ。
ヤクザに狙われてるんだってな。
とにかく、逃げろ。
な、逃げろよ。
金は、あるのか?
口座番号教えろよ。」
「宮野さんいいよ。
金は、あるよ。
沖縄上手く行ってんのかな?」
宮野は、俺のフリーの作業員の時代からの付き合いのまま会社にも作業員として何度も仕事に呼んでいた。
何度も社員にならないかと誘ったが宮野のは、作業員のほうが金になるし気が楽だと言い断った。
宮野は、今は、僕の居た沖縄で僕の後釜として違う会社で所長をしていた。
僕が会社の現状を宮野に話し後釜に座ってくれと頼んだからだった。
「こっちの事は、心配するな。
落ち着いたらお前にも戻って貰うからな。
口座番号教えろよ。
大して送れないが無いよりあったほうがいいだろ。
いつか返して貰うから気にするな。」
僕は、仕方なく口座番号を教えた確かにこれから石井を殺るにしても金は、少しでもあったほうが良かった。
何が起こるか分からないからだ。
僕は、とりあえず車を走らせバットを振っても怪しまれない場所を探した。
国道を少し入った所に広場のような物が見つかり路上駐車をして中に入った。
広場かと思ったら公園だった。
ブランコと鉄棒があり公衆トイレもあったが、ずいぶん寂れていた。