金属バットを買って待つ(仮題)
街の人は、俺の、気性の激しさを知っていたし、俺は、平社員だったが親父の息子って事で何かと注目されていた。
悪い注目のされかただったようだ。
時には、親父の代わりに会社に金が無い為に業者に払いを待ってくれと言いに行ったりした。
その頃の俺は、三十三歳で会社を守る為に必死だったし元々の気性の荒らさが出ていた時期だった。
あの息子は、ろくな奴じゃないと陰口を叩かれたが、面と向かって言ってくる人は、ほとんどいなかった。
俺は、大抵サングラスを掛けて街を車で回った。
何人かと乱闘になった事もあった。
待ち伏せに合い乱闘になったが、相手が誰なのか俺には、分からなかった。
ただ会社絡みなのは、分かっていた。
俺は、二本目の煙草に火を付けないながらノロノロと立ち上がり近くの自動販売機で缶コーヒーを買った。
朝からほとんど食べてなかった事に気付いたが腹は、空いてなかった。
この三ヶ月ほどで俺は、八キロは、体重が落ちていた。
食べられないのだ。
頬が削げて、元々人相が良くない顔が、更に悪くなったような気がした。
缶コーヒーを飲みながらベンチに戻った。
涼しい風が吹いていた。
Tシャツ一枚では、肌寒かった。
身体のダルさが増した気がした。
さっき公園の水道で身体を拭いたのも良くなかったようだ。
俺は、缶コーヒーを飲むと車に戻った。
携帯を見ると知らない番号の着信が二件入っていた。
俺は、携帯の電源を切ると車のシートを倒して眠ろうとした。
眠れなかったが昨日買っておいた菓子パンを無理矢理口に喉に押し込んでゆっくり噛んで食べた。
旨くも何ともないがとにかく腹に入れないといけないと思い無理して胃に入れるようにした。
食べ終わり、目をつぶってしばらくすると色々な考えが浮かんでは、消えた。