森のくまさん
女の子が振り向く
俺と目が合う
あぁ…見つかってしまった
きっと逃げられてしまう
町の人達は俺達の姿を見ただけで逃げていく
恐怖に怯えた目を向けて
もっと聴きたいだけだったのに…
自分の不注意に後悔する
「熊族の人?」
え…?
いつの間にか俺の目の前までやって来たその子が首を傾げて聞いてきた
この子…逃げないの?
「う…うん」
戸惑いながら答えるとその子が笑って言った
「ねぇ、一緒に遊ぼうよ」
「………俺のこと、怖くないの?」
絶対怖がられると思っていた
逃げられると思っていた
「私に怖いことするの?」
俺は首を左右に振る
すると、女の子は笑う
「じゃ、怖くない」