森のくまさん

お父さんの後に続いて町に帰ろうとしたら、目の端で何かが光った

お父さんにバレないようにこっそりとソレを拾う


白い貝殻で出来た
小さなイヤリング


その近くには一枚の紙切れが落ちていた
そこに書かれた文字を見てトクンと胸が鳴る


『お誕生日おめでとう。こんな俺と一緒に遊んでくれてありがとう。これからも、よろしくね。ムツキより』


ごめんなさい…
私の不注意でこの関係が壊れてしまった

もう一度、ムツキが消えて行った森を見る
でも、そこにはムツキの姿は無い


胸がきゅっと苦しくなる
そして、私はその日から胸にぽっかり穴が空いたような喪失感を感じるようになった


足りないの…
ムツキが足りないの…




私は…
あなたのことが…





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