終わらないセピア



元々ひとりだったし、こんな環境には
慣れていたの。
誰かに囲まれてペチャクチャ喋るより
ひとりで遠くの景色を見ている方が
好きだった。
ずっと楽だったよ…。



だけど改めて優しくされると
どうしていいかわからない。
その相手がモカなら尚更のこと…。



「悩みあるなら聞くよ」なんて
容易く言わないで。
「親友」とか言われるとどうにか
なっちゃいそう。



風で揺れる髪を耳にかける仕草も
瞬きも艶やかな唇も全部、
あたしの「心」を掴んで離さない
なんて言えるわけがないじゃない。



あたしの「心」を知ったらモカは……
もう二度とこんな笑顔を見せては
くれないだろう。
キラキラした眼差しで
「ミッちゃん」と呼んでくれることも
ないんだろうね。



それがたまらなく怖いの……。





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