終わらないセピア
『もう、ミッちゃんったら。爪は
噛むもんじゃないの。ほら貸して』
ふいに触れたモカの指に
血が上るあたしはきっとどうかしてる。
薄いピンクベージュのネイルは
モカとお揃い。
ニッコリ笑ってキレイに塗ってくれた。
その一生懸命さがあたしを虜に
してきたのよ。
乾くのを待って上からまた
トップコートを重ねていく。
『でーきた!』
お互いの爪を見せ合って微笑み合う
あたしたち。
こんなふうにされると、
他の誰よりもあたしたちは深く
強く繋がってるって
自惚れてもいいのかな……?
この小さな幸せを
モカ……あたしだけに向けていてね。
あたし以外、大事にしないで。