終わらないセピア
あたしが触れてた右手は
もう新しい彼氏が触れてる。
撫でてた髪も、頬も、
お揃いで付けてたピアスも
いつからか付いてなかった。
あたしだけのモカなのに……。
家が近所ということもあって
それなりの行動範囲は把握してる。
今までだって、何度男を連れ込む
ところを目撃したことか。
互いに親は共働きで帰りも遅い。
だから寂しくないように家を
行き来してた。
男が出来たらそれさえ突然
奪われてしまう。
そのたびに居場所を失ったみたいで
生きた心地がしない。