終わらないセピア
『俺、お前に負けるってどういう事?』
無造作に遊んだ毛先をクシャッとして
うなだれてる。
『付き合ってる時もお前の話ばっかだ
った。気付いたらこの俺が妬くくら
いに』
風の音も消えて
あたしの鼓膜は男の声だけを拾う。
『後悔したくないから別れてください
って言われたよ』
ポタポタと流れ落ちる雫は足元にシミ
を作っていく。
『お前が言ってなくても、桃香は知っ
てるよ。俺らのこと』
『え……!?』