レンタル彼氏Ⅲ【完結】
「…大丈夫だって」


「ほ、本当ー?!」


「ああ」


「いずちんはどこ?」


「まだ手術室」


「え?!それ大丈夫じゃないじゃん!」



その女の子は、怒ったように聖に言う。


「…無事だよ、絶対」


だけど、聖はそう強く言った。



「………うん」


それにその女の子は頷いた。


それから俺に気付くと、「あ!」と声を上げた。



「……い、伊織っ?!」



………おい、俺のことどうして皆知ってんの?

しかも、何で皆呼び捨て?



「え、尚ちん、伊織知ってるの?」


聖の問いに首を捻りながら。


「…………知らないけど、知ってる」


そう答えた。


「何それ」


尚ちんと呼ばれた女の後ろにいた男がそう突っ込む。


「学はいーの!だって、いずちんから話しか聞いてないんだもん!」


「まあ、そうかもだけど…それ知らない部類だから」


「あーもう!学、うるさいっ!」


「はいはい」


それを聖は引きつった笑いを見せながら、二人を宥めていた。

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