レンタル彼氏Ⅲ【完結】
「……伊織」
聖がその二人を引きつれて俺の前に来る。
「こっちが尚子、こっちが学。
尚子は大学の友達、学は尚子の彼氏」
「………ああ」
「…ごめんな、騒がしくて」
聖はすまなそうに謝る。
「伊織さん」
俺が答えるより先に、尚子が話しだした。
「…いずちんなら、多分大丈夫です」
……何で。
「………何で、皆そんな信じられるの?」
俺は怖くて、怖くて。
堪らないのに。
俺から誰もいなくなってしまったから。
だから、泉までいなくなることが怖くて堪らないのに。
泉の友達は口を揃えて大丈夫だと言う。
それが当たり前のことのように。
「え?そんなの…」
尚子は学と聖の顔を見てから
「…いずちんが伊織さんを置いていなくなるわけないから」
そう、言って笑った。
………泉が、俺と離れていた時。
どれほど俺を想っていてくれていたのか。
今、こんなにも伝わる。
伝わってくる。
「……は、……はは」