レンタル彼氏Ⅲ【完結】
「…ど、うしたら…いい?」


こんなこと聖に聞くのは間違ってる。
わかってる。


だけど、聞かずにはいられない。



俺は泉にどう接したらいいんだ?




そう尋ねる俺の肩を、ぽんぽんと叩くと聖はにかっと笑って


「隣で笑ってたら、いいんじゃねえ?」


そう言った。



その聖の右手の中指には。

あの、限定の指輪がつけられていた。


俺とお揃いの。




俺は、よかったんだ。


よかったんだよね。



泉の隣でずっと。

ずっと、笑ってるよ。


泉だけを見てるよ。


もう、後悔なんかしたくないから。



泉だけは手放さないから。



「…聖っ、伊織さん!泉が目覚めたっ!」


病室の扉を開けると、尚子がそう呼んだ。


俺は聖に手を引かれ、病室へと舞い戻った。




泉の周りに皆集まっている。


だから、泉の顔がここからは見えない。



………泉。


「ほら、前行きなよ」


聖がそうやって俺の背中を押す。


「……………」




ゆっくり、前へと進む。


少しずつ見える泉の姿。
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