レンタル彼氏Ⅲ【完結】
もっと早くに住もうかと、泉は言ってたんだが。


俺が、母親をきちんと説得したいし、お金を貯めたい。
そう言ったから、それに従ってくれた。


あの日から、俺は毎週のように泉の家に通いつめて母親に頭を下げた。



最初は水をかけられたりして、門前払いだったが…。

次第に俺を受け入れてくれた。


……と、いうのも。

泉のあの一言がきっかけだろう。




その日も、母親は全く俺の言葉に耳を貸さず。

その態度にぶちギレた泉が……。



「伊織を認めてくんないなら、今ここから死んでやる!!!」


そう言って、マンションから飛び降りようとしたからだった。


それには母親より、俺が慌てた。


いや、お前が死んだら意味ないだろ!

そうやって、心で思いながら泉を必死に止めたんだ。



それに観念したのか、諦めたのか…。

泉の母親が、同棲することを承諾してくれたのだ。



…泉ってそういえば、こんな子だったかもしれない。

レンタル彼氏を知りたいからって、無茶して俺に話しかけるような子だったし。
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