レンタル彼氏Ⅲ【完結】
「……愛されてるって、思えるはず」


「…泉っ」






胸が詰まって、堪らなく愛しくて。


もう、泉の何もかもを俺のモノにしたくて。



泉の瞳にうつるモノ全てが俺であればいいのに。



本気でそう思うほど。




俺は泉を愛していた。





がむしゃらに抱き寄せ、雨のように何度もキスを降らせた。



甘い吐息も、全て俺を奮い立たせる材料になる。





「……っ、伊織」


「もっと、名前呼んで」


「伊織っ、いおっ、伊織、好きっ」


「…俺も、好きっ」





好き、なんかじゃ足りないくらい。


俺は泉が好き。



情事を終えた後、俺と泉は手を絡め合わせて布団に仰向けに寝ていた。




泉とした後だけ、俺は嘔吐をしなかった。

他の誰としても、母親の声を思い出させ、女を見下ろしては醜いモノとしか思えなくて。



トイレで何度も嘔吐した。



あの、美佳ですら。




だけど、泉にはそれがない。

初めてしたあの時から、今までただの一度も。




「…幸せだね」



ふいに泉がそう呟く。
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