レンタル彼氏Ⅲ【完結】
「ああ、幸せだ」



頷きながら答える。



初めて感じる、この幸福感。


この気持ちは、もう泉以外では成り立たない。




「ずっと、ずっと、こうしていようね」


「え?エッチするってこと?」


「違うよ、バカっ!
ずっと一緒にいようねってこと!」


「…ああ」



泉はぷくっと頬を膨らませて、俺を睨む。

俺としては冗談で言ったわけではなかったのだけれど。




「…望んでいいんでしょう?」


頬を萎ませた泉は、眉を下げて俺を見ると弱々しく、呟いた。



それにぐっと、言葉が詰まる。




………なあ、それ。




俺の台詞だよ?




もう、手に余るほどの幸せを手に入れたのに。



まだ、望んでいいの…?




「…当たり前じゃんか」


震えそうな声を、誤魔化せたかはわからない。


だけど、泉は目を真ん丸にしてからそれを細めた。
頬を染めて嬉しそうに。




一喜一憂。

本当にそうかもしれない。



好きな人の言葉で傷つくことも、泣くことも、喜ぶことも出来るんだ。


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