レンタル彼氏Ⅲ【完結】
「…レンタル彼氏をしてる時は、別の人格なっていたからどんなことも我慢できたんだ。
だけど、泉と会うようになって、付き合うようになってからはうまく切替が出来なくなっていた」


「………」


「あ、泉の所為じゃないよ」


俯く私に伊織は慌てて否定した。

それから優しく微笑む。
安心させるように手を強く握りしめながら。


「…泉がいたから、俺は俺を取り戻せたんだと思う」


「…ほ、んとう?」


「俺ね、泉に連絡出来なかった時さ、ずっと常連だった人と切れたんだ。
それが想像以上に辛くて、何も出来なかった。
三日経ってやっと泉のメール見て、心配させたから驚かせようと学校へ向かった。
それで、見ちゃったんだ」


「………」



あの、日のこと。
今も忘れられない。


伊織のメールに腹が立って、無視して順二と和と出かけた日。


そして順二に告白された日。


「…何が、悲しかったって…。
俺よりもね、隣に歩いていた男の子の方がよほど泉にお似合いだったからさ」


………どうして。

私はどうして気付けなかったんだろう。

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