レンタル彼氏Ⅲ【完結】
伊織はずっと、私を抱きしめてくれた。

こんなにも温もりが温かいと思ったこと、あるだろうか。



「…大好きだよ、本当に」


「…私も」





ねえ。



今までたくさん遠回りした分。

これからは幸せになれるよね?



二人なら、些細な幸せも手に入れられるよね?




今度伊織が休みの日に、二人でたんぽぽ院に行こう。

そして、鈴恵さんに報告しよう。


きっと、あの人なら喜んでくれる。



鈴恵さんの側にいたから、伊織は最後まで絶望しなかったんだと。

何もかもを信じられなかった伊織だけど、鈴恵さんのことはきっと信用していたはずだから。






きっと。

伊織の、お母さんだから。

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