レンタル彼氏Ⅲ【完結】
「え?そっちにあるじゃん」


「泉の頂戴、はい」



それから伊織は、あーんと口を大きく開ける。


「…………」



ボボボボっと、私の顔から火を吹いたかのように熱くなる。

な、なんだこれはっ!



「…何してんの、早く頂戴よ」


カチンコチンに固まった私を見て、不満そうに伊織がぼやく。


「あ、う、うん」


恐る恐る私は伊織の口に自分の手にあるチキンを持って行く。


口元まで持って行くと、それを伊織はぱくりと一口噛った。



「…うわ、チキンもうまっ」


「……………」



も、もう。
これは心臓が破裂しそうだ。



ダメだ、恥ずかしすぎる。

男にあまり免疫のない私には刺激的だ。



だけど、伊織は全く気にした様子はなく、自分のチキンにかぶりついていた。



あーもう、胸がいっぱいで食事どころじゃなくなって来ちゃったんだけど!


…………プレゼント、渡そうかな。



本当は食事を終えて、一息ついた後に渡そうと思ってたんだけど…。

今は食べられそうにない。
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