レンタル彼氏Ⅲ【完結】
ここから
――――――――…
しんと静まり返る。
その男は黙ってその場に佇み、裁判官の話に耳を傾ける。
「被告人は長年連れ添った妻を、包丁で刺殺。
その後、取り調べをする警察官への暴行。
その事になんら異存はないですか?」
「…はい、何もないです」
男はぎゅうっと、拳を強く握りしめる。
「被告人が逃げ去る姿を目撃したものもおり、証言もあること、物的証拠から殺害したのは被告人で間違いないでしょう」
淡々と裁判官が話す言葉を男は黙って聞きいれる。
「判決を下す」
緊張の瞬間。
「被告人を殺人罪及び、暴行罪として懲役13年と処す」
…男はその判決に心の中で笑った。
誰もが男の無実を聞き入れなかった。
誰もが男を犯罪者に祭り上げた。
弁護士に言われて、求刑より実刑を軽くしようとそう説得され、納得いかないことも全て反論せずその男は聞き入れたのだ。
納得などしていなかった。
だけど、その時の男には無期懲役でないことに喜びを隠せなかったのだ。
これで、復讐が出来ると。
しんと静まり返る。
その男は黙ってその場に佇み、裁判官の話に耳を傾ける。
「被告人は長年連れ添った妻を、包丁で刺殺。
その後、取り調べをする警察官への暴行。
その事になんら異存はないですか?」
「…はい、何もないです」
男はぎゅうっと、拳を強く握りしめる。
「被告人が逃げ去る姿を目撃したものもおり、証言もあること、物的証拠から殺害したのは被告人で間違いないでしょう」
淡々と裁判官が話す言葉を男は黙って聞きいれる。
「判決を下す」
緊張の瞬間。
「被告人を殺人罪及び、暴行罪として懲役13年と処す」
…男はその判決に心の中で笑った。
誰もが男の無実を聞き入れなかった。
誰もが男を犯罪者に祭り上げた。
弁護士に言われて、求刑より実刑を軽くしようとそう説得され、納得いかないことも全て反論せずその男は聞き入れたのだ。
納得などしていなかった。
だけど、その時の男には無期懲役でないことに喜びを隠せなかったのだ。
これで、復讐が出来ると。