レンタル彼氏Ⅲ【完結】
「でも、出来たら名前は一緒に考えたいね」
曇った理由を問う前に俺はとりあえずそう言った。
すると、泉はぱあっと顔を明るくさせると
「うん、一緒に考えようね!!」
そうやってまた鼻歌を歌った。
あれ、なんか機嫌直った?
じゃあ、聞くのいいか。
子供か。
…欲しいな、泉との子供なら。
俺が幸せな家庭じゃなかった分、子供には幸せな家庭を与えたかったから。
それを泉となら成し遂げられるような気がした。
「でね、伊織この後行きたいとこあるんだけどいい…?」
出来あがった料理を、テーブルに置くと泉が突然そんなことを言い出した。
「え?どこに?」
「…秘密」
「ええ?」
「いいから、行こうよ」
「…わかった」
「さ、食べよう」
……どこに連れて行かれるんだろう。
でも、泉が相当ご機嫌だから悪いとこではないのだろう。
素直に着いていこう。