黒木健蔵の冒険
「人前じゃあ、もちろん叱らんかったがの。ばあさまは、賢い女じゃったけ~。わしは、黒木の家に養子に入った身じゃけ~、普通なら、肩身の狭い思いをしなければならなかったが、ばあさまは、常日頃から、わしを立ててくれて、恥をかかされることは、一度もなかった」


健蔵は、そう言いながら、遠い目をして、しばらく窓の外を眺めていた。


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