黒木健蔵の冒険
当の健蔵はというと、はなから社長の娘なんて、鼻っ柱が強くって、どうせ、こんな縁で嫁がせるんだから、あちらさんは、何か、曰わくのある娘なんだろうと、たかをくくっていたから、見合いの時も大して、期待してはいなかった。

どんな、おへちゃが来るのかと、思っていた。

ところが、なんと、なんと、この世のものとも思えない美しい娘が自分の目の前に現れた。


「黒木みゆきでございます」


そう挨拶されて、狐につままれたような顔をした、健蔵であった。

< 2 / 59 >

この作品をシェア

pagetop