黒木健蔵の冒険

（おばあ様が、今のおじい様をご覧になったら、どんなに嘆き悲しむことか）


里奈の心とは、裏腹に、健蔵は、最後まで今の気持ちを変えることはなかった。


「ありがとう。すまなかったな。里奈は、わしを元気づけるために来てくれたんじゃろ？」



「そうですよ！おじい様、これからも、たまには、こうやって、デートしましょうね。私も久しぶりに、おじい様とお話できて、嬉しかったです」


「デートか。４０年以上前に、ばあさまと銀座でデートをしたことがあったな」