【短編】卒業ストーリー
大きく深呼吸をして視界を空から前の下駄箱へとうつした。
「・・圭弥・・先輩・・」
静かに呟いた。
2年間の片思いが本当に終わってしまうんだ。
キャーと悲鳴に近い声が飛び交う。
もういっかいさっきより大きい深呼吸をして、
歩き始めた。
「ボタン下さいっ」
「ずっと好きでした!」
聞こえているかどうかもわからないのに、ファンの子たちは叫んでいる。
―どのくらい勇気がいるんだろう?
私の声は聞いてもらえるのだろうか?