【短編】卒業ストーリー
―私だ・・・。
最後だよ、後悔しないようにっ・・・。
ふぅと一息はいて
先輩を見た。
先輩はしっかりと私のことを見て微笑んでくれていた。
「・・・っ先輩。ボタン・・・下さい」
といってから制服を見るとひとつもボタンがついていなかった。
ズキンッ
と心が痛かった。
「・・あ、ごめんなさい。・・ないですよね・・っ。すいませんっ・・・」
恥かしくて、声がかすれた。
頭をさげて走ろうとしたところだった。