【短編】卒業ストーリー
「んーっ!もう3月かあー。1年て早いね。うちらもう3年生じゃん。」
梓が腕を伸ばしてのびをしながら言う。
「ふみ?」
何も言わない私を心配そうにのぞきこむ。
「あ、ごめん。そうだねー。先輩、卒業かあー・・。」
今までずっと頭の中で考えていた事をぽろりと口にした。
「あ!そうだよ、ふみ。先輩卒業でしょ?いいの?告白とか・・・。」
梓の言葉に私はちょっと声をあげる。
「無理だよっ!告白なんてさー・・・。
だって、うちのクラスのちょーかわいい美奈だって先輩のこと好きなんだよ?
絶対無理だからねー?」
先輩はかなりモテる。
ほんとに同学年にもたくさん好きな人はいるし、1年にも2年にもファンならいくらでもいた。
私はそのうちのひとり。
美奈みたいに可愛いわけでもない。
積極的なわけでもない。
だから先輩が知っているかどうかすらあやうかった。