君中輪廻。
口の端が切れた。
ちゃらんぽらんにしょっぱ不味いものを全て食べさせられ、その結果、こうなった。
あまり大きな口を開けられないし、味の濃いものも食べられない。美琴は本当に鬼だと思う。

これからどんな凶器が作られるのか恐怖を感じたので、今日は私が美味しいご飯を作ることにした。
美味しいご飯を作ることにした、作ることにしたのだった…。

「衣辻。なんでしょう、これ」

美琴が指差す、黒い固まりは、数秒前まではキャベツだった。

「ごめん、なさい…。一応キャベツのソテー。捨てる、捨てるから!」

まさか、私が凶器を作り出してしまうなんて。

「いいよ。ありがとう、衣辻。食べよう、せっかく作ってくれたんだし」

美琴が優しく私の頭を撫でる。
その手が温かくて少し、泣きそうになった。

「「頂きます」」

キャベツのソテーらしきものから焦げ臭い匂いがする。食べる気が失せてきた。

「あ、キャベツなのにシャリシャリいってる」

先に食べた美琴が顔をしかめる。
「に、苦い…」

口の中にいれた瞬間、焦げの苦味が口いっぱいに広がった。

「捨てても…」

「捨ててもいい?」、美琴にそう聞くつもりだった。

でも、美琴はまた、あの悪魔の微笑みを称えている。嫌な予感がした。

「衣辻、残さず食べなさい」



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