そうでもないんだけどな

あたしには、相方がいる。

呼び方が相方というだけで、別にお笑いをやってるんではない。

相方は、あたしとは違った意味で寂しい子供時代を過ごしてきた。

子供の頃は、周りに同じくらいの子供がいて、毎日泥だらけになって、

洗濯するのが大変だって、親を困らせて。

そういうのが普通なんだって思ってた。

あたしには、上に二人の姉と一人の兄貴がいる。

それぞれの兄姉の友達なんかも近所にいて、賑やかな毎日だった。

けど、相方は違ってて、喘息で学校休みがち。

お母さんもあまりそばにいなかったという。

おばあちゃんと暮らすことが多かったとか。

その頃、なかなか会いに来なかったお母さんのことを、いまだに口にする。

「あの頃の思い出ってあまりない」=思い出になることがなかった。

子供時代に子供に思い出を作れないほど忙しかったのか?

……答えは、NO。

好きな男のところに行くか、夜の仕事をしてた。

度々起こす、自殺未遂。

何度もそれをみては、哀しくなった相方。

自分を簡単に置いて死のうと思えるということ。

俺ってなんなんだよって、幾度となく思ったと話すことがある。

今、三人の娘の親のあたしたち。

それぞれで、子供は出来にくいよって言われた者同士の再婚。

あーーーんど、妊娠。

縁は異なもの。

まるでその時期を待ってたのかと思うようなタイミングの出会いだったもん。

三人の娘も、大きくなっていく。

その姿を見て、まだ嫁に行くわけじゃないのに、感慨深げな顔つきになる相方。

自分がして欲しかったこと、してあげたいこと。

どっちもが頭にあるんだろうなぁと感じる顔つきなんだ。
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