愛しき人々

が、しかし、意外にもこの芸のないジャブが次男に効いたらしい。
サっと顔色が変わる。
それを見逃さなかった私は、さらにもう一発お見舞いしてやった。


―明日香ちゃん(次男の彼女)にだって嫌われるからね~~だ


これは効いた。
効きすぎて次男はキレた。

なんと、母親に向かって手をあげたのだ。

悔しいが、力ではもう彼には敵わない。
カンタンに押さえつける事ができたのは、遥か遠い昔のようにも思えるし、つい最近のようにも思い出される。

ノスタルジーに浸っている暇はない。
2ラウンド目は暴力によって次男に勝ちをとられてしまった。

てか、もう威厳とか勝ち負けとか、どうでも良い。
次男に親不幸を詫びさせ、なんなら、さらに打撃を与えたい。

私のくだらない罵声と次男の的を得た罵声の応酬は続く…




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