キミに送る約束~空に向かって~

「そうかな─...。」

「いーから。んなこと考えなくたって。心愛は
俺の事だけ考えてろ。」


そう言って慧はニッと歯を見せて笑う
ついこの笑顔につられてあたしの
頬もあがって行くのが分かる


好き─...慧が......。






それから司くんに外で会うこともなく
すっかり心配していたことなんて忘れていた

そんな時あたしと慧の噂が電車の中で
広まっていた


内容はこうだった。
ただ単純にあたしたちが正式に付き合っている。
それだけならいいけど噂が広まるにつれて
どんどん大げさになっていく。
あたしが慧を誑[たぶら]かしただとか...
または、梓ちゃんがいない慧に漬け込んだとか



「気にすんな。そんなこと噓なんだから。」


電車の中で周りからの視線を集めていた
あたしに慧が言う。


「ぅん.....」


とは、言ってもやっぱり気にするでしょ...

やっぱり今までは“代わり”だったけど今は
“彼女”なわけだから...


「じゃあな。」


慧があたしの頭を撫でて電車から降りた
それと同時に千尋の隣にいた宗佑くんも
降りたわけだから千尋があたしの
とこまでやってくる。

あたし達はいつもここで合流して学校まで行く


慧が降りたとたん同じ学校の子達が冷めた視線を強く送ってくる


『ねえ、梓ちゃんから取ったってほんとー?』

『彼女になれたからって調子こくなよねー』



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