キミに送る約束~空に向かって~

そんな風に時間が過ぎて行って
夏休みは、残り1日となっていた

今日もあたしは、慧のお見舞いに行く

靴を履いて鞄を持ってドアに手をかけた
時だった

鞄の中から携帯が鳴る

この音楽を設定しているのはただ一人
“慧だけ”


お気に入りの曲だからよく電話が鳴る
慧に登録した


「もしもーし?」


肩と耳の間に携帯を挟んで電話に出た


けど電話の向こうからは、何も聞こえない


「慧ー?どうしたのー?『さと.....し』


電話の向こうから高い女の人の声が聞こえた


「慧.....?」


何だかいやな予感がして携帯を持ち直す


「ねえ、誰といるの?聞こえてる?」


急に体に寒気が走る


そう...今年の冬休みの時のように...


『梓が.....死んだんだ─......。』



違う...違う!
あたし、何考えてるの.....?
違う!違うんだから.....


『ここ.....あ』


電話の向こうからやっと聞こえた声

あたしは、我に返って携帯をギュッと
握る。全身から冷汗が流れるのが分かる


「慧っ...?どうかした...の?」


慧を安心させるように声が震えないように
ゆっくり言った


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