キミに送る約束~空に向かって~

『.....聡さんが...さ』

「......ん?」

『目...覚めなくなっちゃってよ...』


あまりの事に声も出なかった


『危篤だって...先生言ってたよ...』

「っ.....」

『なぁ、どうなっちゃうんだろうな...』

「慧─っ.....」

『何で...何でこんな.....』─ブチッ

「慧っ!?」


電話の向こうから聞こえるのは
電話が切れた音だけ.....


行かなきゃ.....
今すぐ行かなきゃ


あたしは、夢中で走る

バス亭まで行き次に来るバスの時刻を見る

バスは今発車したばかりらしく次来る
バスなんて待ってる時間はない


あたしは、そのままバスと同じ進行方向へ走る


途中で車が沢山走る道路に出てタクシーを捕まえて
乗り込んだ


「急いでくださいっ!」


タクシーの運転手さんを急かす

ただじっとなんてしてられなかった


いつ鳴るか分からない携帯を握り締めて
ただただ.....誰かの幸せを願った




願って...願って.....

夢を見た─.....


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