キミに送る約束~空に向かって~
俺は、無言で心愛を見つめる
「慧?」
「...もし、手術成功したら旅行行くって
約束したよな」
「うん...」
「遠いとこまで2人だけでさ、
星が見えてその日、お互いの事しか
考えなくて良い場所。“また明日”って
言わなくて良い場所...行きたいな...」
「うん...約束したじゃん」
心愛の目が少し赤くなる
「俺...頑張るから」
「うん...」
「まぁ、頑張るっつっても医者が手術
してくれるんだけどなー」
「頑張れっ♪」
心愛はそう言って微笑んだ
この笑顔は...一生忘れないだろう
今...心愛は17年間の人生の中で
一番輝いているように見えた.....
─それから兄貴に宗佑と千尋
クラスメイトから担任。
バイトで一緒だった人まで来てくれた
みんな「頑張れ」と言葉を残して
帰っていった
クラスメイトは、色紙をくれたりした
そして空の色は暗くなって
星が見えていた
「じゃあ、あたし帰るね」
心愛が鞄を持って言う
もうみんな帰って残ったのは心愛だけだった
「ああ.....心愛っ!」
俺は、心愛をひきとめる
「ん?どうかしたの?」
「忘れ物...ちょっとこっち来て」