キミに送る約束~空に向かって~

慧は、ブランコから飛び降りて鞄から
小さなスコップを2つ取り出して
1つをあたしに投げる


「何よこれー!」


慧は、大きな一本の木の下まで走って行き
急に土を掘り出す


「慧...?」

「ほら、お前もボケッと立ってねえで
さっさと手伝え」

「えっ!?何してるの!?」

「忘れたのか?お前...」


慧は、ため息を吐く


「忘れたって...ああ─っ!もしかして...
タイムカプセル...?」

「そっ。忘れてたらどうしようかと思ったよ。
さっさと掘り起こすぞ」

「うんっ♪」


慧の隣に並んで土を掘る
ただ無我夢中で土を掘る
まるで幼い頃に戻ったような気分だった


夕日に照らされながらあたし達は、
土を掘るスピードがだんだん遅くなっていく


「...ないね...タイムカプセル」

「おっかしーな...ここに埋めたはずなのに...」

「.....誰かに掘り起こされちゃった...とか?」

「なわけねーだろ!すっげー奥に埋めたから
絶対にあるに決まってる!」


慧は、意地になって土を掘る


「慧ー...また明日にしない?」


あたしは、半分あきらめかけて言う


「ばか野郎!絶対にある!」


慧は、スピードを早くして土を掘る
あたしは、疲れてベンチに座って慧を
ずっと見ていた

どんどん夕日の色が濃くなっていく


昔から慧って諦め悪いもんなー
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