キミに送る約束~空に向かって~
「つっ司くぅん.....。」
子犬のような目をした心愛は兄貴に
何かを訴えるような目で見る。
「慧!お前も冗談ってもんがあるだろ!」
「はあ!?これ冗談だし。つうか心愛も
何本気にしてんだよ!だから彼氏も
できねえんじゃねえの?」
部屋が急に静かになり空気すらなくなった
ような気がした。
「もういい!最低ッ!慧なんて大ッ嫌い!」
心愛はそんな言葉だけ残して兄貴の
部屋から出て行った。
「何、言ってんだよ。」
呆れたように兄貴はため息をこぼして
後ろから言う。
「知るか。ばーか。」
俺は、手にとっていた漫画を本棚に戻した。
「漫画、いいのかよ。」
「うっせ。読む気もなくなったっつーの。」
そう言って俺は部屋から適当にパーカーを
選んで着てまた適当にスニーカーを
選んで家から出る。
「寒っ.....。」
いつのまにかこんなに寒くなっていた。
俺は袖を引っ張ってポケットに手を入れて
ズボンを引きずりながら
ため息ばかりこぼしていた。