Kissしてダーリン[短篇]
気付いた時には敦の家を飛び出していた。
自分の携帯をポケットに無理矢理詰め込み、自分の鞄を急いで掴み、走り出していた。
「もぉ、やだ…」
暗い夜道、こんなところを一人で走ったなんて知ったら
敦、怒るかな?
それでも足は止まらない。
その場にいたくなくて、敦が中村って呼ぶのが嫌で…
「…苦しいよ…」
胸が張り裂けそうだった。
恋ってこんな辛かったっけ?
「…っ」
もう、嫌…
バンッ
自分の部屋に閉じこもり、一人で泣いた。