Kissしてダーリン[短篇]
「…早く席付けよ。」
いつもとは違う、鋭い眼差し。
…怖い。
「なんか先生、機嫌最悪だね?」
隣の子が耳打ちをする。
「う、うん。」
シーンとした雰囲気のまま出席を取る。
私はなるべく視線を合わせないために下を向いていた。
キーンコーン
カーンコーン…
終わりを告げるチャイムが響いた。
た、助かった。
ほっと息を吐いたその時、
「環境委員…放課後、職員室来い。」
環境委員…
って私!?
なんで…
今は無理。
敦に会いたくない。
別れ話なんて…………聞きたくない。
「夏ちゃん、今日変わってくれない?」
「えっ!全然いーよっ」
敦の取り巻きの一人に仕事を頼み、
私は帰った。
敦と付き合って、初めて学校から家にまっすぐ帰った。