Kissしてダーリン[短篇]
「ただいまー…」
「おかえり。ってあんた今日は早いのね」
6時に家に帰ってきた私を見て、お母さんは唖然とした顔をしていた。
「彼氏と喧嘩~?」
「うるさい」
気付いて欲しくないときに限って気づくんだから。
スタスタと2階に上がり、自分の部屋へ。綺麗に片付いている部屋は、なんだか落ち着かなかった。
いつも敦の家にいたから、自分の部屋なんて滅多に来なくなっていたことに気がつく。
ボフッ
携帯を片手にベッドに飛び込む。
「今日も、中村先生と出かけるのかな」
声に出すと倍、悲しさがこみ上げてきた。
ピーンポーン…
目に溜まった涙を流さないように、仰向けになって寝転がる。
そのときになった呼び鈴。
どうせ、セールスでしょ。