Kissしてダーリン[短篇]
……大したことじゃなかったら怒鳴ってやるんだから。
「お母さん、何ー?」
「真央!あんたにお客さん。…何かやったんじゃないでしょうね?」
顔が少し青くなっているお母さんを無視して、玄関に向う。
何かやったって…
何もやるわけないじゃん!
ていうか、誰?
警察?
「はーい。」
今は誰とも話したくない。
さっさと切り上げよう。
そう思って、部屋のドアを開けて玄関を見た。
「…な、んで」
足がそれ以上前に出なかった。
再び足が震える。
あのときと同じように。
「……何やってるわけ?」
その声がなんだか懐かしく感じた。
私の家の玄関にいたのは、敦だった。
スーツ姿の敦。
……学校から直で来たのか、朝と同じ黒いスーツ姿。
「…敦こそ、なんで?なんでいるの?」
「……ちょっと来い。」