Kissしてダーリン[短篇]
初めて敦に大声を出した。
今まで怒鳴ったことなんてなかった。
でも…
今日は無理。
「…誰が?」
そんな私に少し驚きながらも、何がなんだか分からないような顔で私を見る敦。
いまさら、そんなとぼけなくてもいいのに。
ぎゅっと歯を食いしばって、口を開く。
「もう、もういいよ。」
「……」
敦を見ていられなくて、窓の外に目を泳がせる。
「別れてくれていい。」
自分でこんな言葉を言う日が来るなんて、思っても見なかった。私達が別れる時、それは私が敦に振られる日だと思っていたから。
グイッ
「な…や、やめて!」
「やめねーよ。」
窓の外を見ていた私の視界は、反転させられ、広い敦の胸が目の中に飛び込んできた。