Kissしてダーリン[短篇]
「絶対、離さねぇ。」
な、何言ってるの?
1日振りに抱きしめられた私。
ドキドキしちゃ駄目なのに、心臓は言うことを聞いてくれなかった。
「…苦しい、敦、苦しいよ」
胸が痛いの。
なんでこんなことするの?
「…真央、俺はお前が好き。信じろよ。」
「…」
久々に聞く敦からの好きの言葉。
でも、中村先生は?
信じたいけど、
信じられないよ。
「昨日、勝手に帰るし、学校では話しかけても無視だし、挙句の果てに俺の部屋には来ないし。…別れるなんて言うし。」
私を抱きしめる力が増す。
「俺がどういう気持ちだか分かってるわけ?」
敦の…気持ち?
ぶんぶんっと顔を横に振る。
背中に回すことができない手は、シートを強く握っていた。
「……俺、死にそうなんだけど。」
「え…?」
「真央がいねーと、俺駄目らしい。」