Kissしてダーリン[短篇]
「そんなこと…言わないでよ。敦は中村先生が好きなんでしょ?付き合うんでしょ?………私、要らないでしょ?」
胸に秘めていた醜い心が顔を出す。
子供じみた嫉妬。
見せたくないのに…
少しでも大人でいたいのに……
「んなわけねーだろ。俺が、好きなのはお前。要らないなんて誰が言ったんだよ?」
少し声のボリュームが上がる。
「…じゃあ、一昨日何処に行ってたの?」
あの香水の匂いは?
「一昨日?…飲み会?」
「中村先生と一緒だったんでしょ?」
甘い香りが私の頭の中でまだ残っている。
「…あぁ、それは新任の先生の歓迎会だし、いるだろ。」
え…?
歓迎会?
「お前が嫌がると思って言わなかっただけ。」
「…」
濁して言っていたのは私のため?
私が心配すると思ったから?
「じゃ、じゃあ電話は?」
「は?」