Kissしてダーリン[短篇]
確かに言った。
中村先生が好きだって…
「電話で、好きって言ってた。」
「…は?お前、そんなとこも聞いてたの?」
呆れた声が頭の上から返ってきた。
はぁ~っと大きなため息。
「電話番号を知ってたのはもうすぐお前らの修学旅行が近いから。」
確かに…
修学旅行まであと1ヶ月。
先生同士の連絡は必要。
「昨日の電話は、ハンカチ忘れたのを電話してくれただけ。…好きってのはそれはいらねーから好きにして良いって意味。」
…私の勘違い?
敦は中村先生が好きじゃない?
「…分かった?」
「…ん。」
大きい敦の手が私の頭を撫でる。
なんだかくすぐったかった。
「…真央、俺を見ろ。」
ゆっくり視線を上へと動かす。
そこには今日、真っ直ぐ見つめることができなかった愛しい人の姿。