悠久の祈り -春宵夢想-


それからしばらくして――。




「落ち着きましたか?」




私はようやく泣き止み、瑛司さんから渡されたちり紙で鼻をかんだ。




歳三さんの事もあったから、思い切り泣いてすっきりした。




「はい。でも、着物濡らしちゃいましたね…」




彼の着物に目を向けると、胸の辺りにくっきりと涙で湿った跡が残っていた。






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